7.17.2022

588. 我が家的『美女と野獣』

Sul Sul!


俺だ、ルーだ。

湿度の高い夏のせいで、
プレイヤーの気分が荒んでいるらしく、
今回は俺からの語りとなった。

よかったら、
付き合ってやってくれ。

💛

この冬これで何回目になるのか?
群れの溜まり場に行った帰り道、


俺は習慣とも言えるような、
遭難をしていた。


ここでの冬越しが、
これで何度目になるのかさえ忘れたが、
いまだにこの調子だ。




だけど今の俺は、
絶対に死ぬわけには行かない。


べネッサに会うまでは。


たとえこの身が朽ちようとも、


彼女の元へ帰る事が最優先!
俺はそう固く決意をして、
再びの一歩を踏み出した。


その後暫く彷徨いながらも、
命辛辛、自宅へと辿り着いた。

💛

そうして何とか本格的な遭難を免れ、
到着した家の前には、


二人の能天気がいた。
お前ら遭難するぞ?
とにかく早く中に入れ。


そんな調子で、
やっとの思いで辿り着いた俺を、


べネッサが出迎えてくれた。
おい、俺にはまだ血が通っている、
生きているぞ?

💛

そんな時、
奴の気配を感じたんだ。


ひとんちの風呂に、
断りもなく入るとは、
なんて図々しい野郎なんだ!?


おまけにアイツは、


とんでも無い格好で、
ヴェネッサに近づきやがった。


それを目にした俺は、


無意識のうちにヤツを呼びつけていた。


うちの高級浴槽を、
無断使用しただけでは事足りず、

腰タオル一枚でヴェネッサに近づくなんて、
やい!
いい度胸してるじゃねえか?


そしてそれだけじゃない。


俺たちウェアウルフは、
どうしてもアイツらとは、
相容れないさだめらしいからな。

💛

そう。
既にお察しの通り、


奴はヴァンパイアだ。


そして実は、
俺が奴とこうして顔を突き合わせるのは、
これが2回目だ。

初回は雑魚ヴァンパイアとの戦いとして扱われ、
そんなもん相手にするなと言わんばかりに、
記録を割愛された。
(家訓 : 雑魚と闘っていい気になるな)

その時の勝負はどうだったかって?
もちろん俺が勝利したさ。




実際の所、
俺はウェアウルフとしては、
まだまだ新参者だし、
ヴァンパイアとの因縁の歴史については、
今だ勉強中だ。

だけど俺が持つウェアウルフの血が、
どうしてもヴァンパイアの存在を、
許さないらしい。




そして気がついた時には、
俺は奴に対して、
究極の武器を手にしていた。
(それをいつ携えたのかも、
全く記憶にねえんだ)


それが何かというと、


青森産高級ニンニクを、
ふんだんに使用した、
強力なソード。


その高級ニンニクが、
勿体無いとは思いつつも、


俺は奴に向って、
その剣を振り上げた。


そしてとうとう奴を斬り倒した!

💛

アイアムア
「ウィナー・ウルフ」


これで2度目の戦いも、
勝利は我にあり!




えっ、何だって?
グレッグはヴィラディを、
素手で倒したって?

まあしかし、
グレッグにはグレッグの、
俺には俺の闘い方があるからな・・・
細い事は気にするな!


とにかく、服着ろ、服!

💛

こうやって奴を倒した後、
今更ながらこの敵に関して、
もう少し詳しい事を知ろうと、
俺は思った。


そしたらなんとドッコイ!?
そこまでの雑魚でもなく、

💛

「マスター・ヴァンパイア」って、
ヴィラディの直下、
上から二番目のランクだろう?
そしてもう一つ。


おいおいおい。
誰だ? 
コイツとお友達の、うちの世帯員は?(笑)

💛

奴が無い尻尾を巻いて帰って行った後、


騒ぎを聞きつけたべネッサが、
俺の元へとやって来た。


そして獣臭200%であろう俺の唇に、
自分の唇を重ねて来た。


いや、べネッサよ、
そいつは勘弁だ。


そして俺は暫くの間、
彼女のキスに心酔いしていた。


その唇を離した後、
彼女がある事を口にした。




『運命のつがいじゃなくてごめんね』


もしやべネッサは・・・


俺のあの愛読誌を、
読んでしまったのか?

💛

それは少し前の事。


俺がいつもの調子で、
お気に入りのウェアリビングのページを、
捲っていた時のこと。




俺がそのページを破り捨てる前に、
彼女は読んでしまったのだろうか?

💛

もちろん俺にとっては、
取るに足らない事なのだが・・・

💛

そしてその後も俺たちは、


二人だけの時間を持った。


まるであの、
美女と野獣のように。


そうは言っても俺たち二人には、
あんな風にドラマチックな物語は、
これっぽちも無いんだけどね・・・


そして俺は、
彼女をダンスに誘った。


俺は踊りながら、
言葉に出す事はせずに、


べネッサへの想いを、
心の中で呟いた。




なんで口に出さないかって?




例え万の言葉があっても、


それを表現する事が出来ないほどの愛が、


俺の心の中には、
溢れているからさ。

💛

そして・・・










『愛は目ではなく、
心で見るものです』
(from 美女と野獣 by シェイクスピア)


まあこれはさ、
この前べネッサが読んでくれた詩の、
丸暗記なんだけどね。



💛

だけどやっぱり、
言葉に出すのもいいもんだよな。
言霊ってやつを、
聞きたがってるはずだしな。


何よりも、
照れ臭いんだけどね。

💛

だから俺は一言だけ、
べネッサに伝えた。
これからもずっと、
『アイシテル・・・』

💛

さ〜て。
俺が相当、照れ臭くなったところで、
この話はおしまいだ。

最後まで付き合ってくれて、
ありがとうな。

そしてよかったらまた、
思い出した時にでも、
覗きに来てやってくれ。

じゃあな
Happy Simming
ルーより